ソ連最古の地球周回物体「Elektron 1」について(1) スプートニクに続く最初期の科学衛星
スプートニク1号打上げ60周年を記念して、今回は、地球周回軌道上に現存するソ連最古の衛星について少し書こうと思います。
なお、この記事ではペイロードだけでなく、ロケットなどのデブリも含めて「人工衛星」「衛星」と表記します。
軌道上に現存する最古の人工衛星は、ご存知、米国のヴァンガード1号とそのロケット(1958年3月打上げ)。
では、ソ連の衛星ではどうかというと、これが結構時代が下り、1964年1月打上げの磁気圏観測衛星「Elektron 1」(1964-006A)が最古の物体である。
実際のところ、「現存人工衛星の古さランキング」でソ連は第2位にさえ入らない。米国、カナダに続く第3位なのである。このようなランキングには何の意味もないのだが、ちょっと面白い。
今回、古い衛星を調べるのに使ったのは、SPACE-TRACKで閲覧できる有名なカタログ「Satellite Situation Report」(略称SSR)である。
SSRには「Objects in Orbit」と「Objects No Longer in Orbit」の2種類があり、2つを合わせれば、人工天体のフルカタログとなる(軌道要素未公表の物体であっても、名称だけは登録されている)。
前者は、現在も軌道上にある物体のリストである。人工惑星・他の天体を周回する物体・太陽系を脱出した物体もこのリストに含まれる。
後者は、すでに軌道上にはない物体のリストである。地球や他の天体に着陸・衝突した物体、地球や他の天体の大気圏に突入して消滅した物体はこちらに含まれる。
現存する古い衛星を調べるには、「Objects in Orbit」リストから人工惑星などを消去し、打上げ年月日の古い順にみていけばよいわけである。
最初にくるのは、上記の通りVANGUARD 1、VANGUARD DEB、VANGUARD R/Bである。その後も延々と米国の衛星が続く。
TRANSIT 4Aロケットのデブリ(史上初めて軌道上でブレイクアップしたとされる)や、「ウェストフォード計画」のデブリ(軌道上に銅針を大量に散布して通信を行うという米軍の非常識な計画)などが件数を稼ぎ、なかなかソ連が出てこない。
米国以外で最も古いのは、カナダの電離層観測衛星「Alouette 1」。1962年9月に米国のロケットで打上げられた、カナダ初の衛星である。
国別で次に来るのが、ソ連の「Elektron 1」になる。米国256個、カナダ1個に続いて、ついに登場。
ちなみに、「地球周回」の縛りをとった場合、「Objects in Orbit」リストで最古のソ連の物体は何かというと、「ルナ1号」(1959年1月打上げ)である。
磁気圏観測衛星「Elektron 1」は、「Elektron 2」とともに、1964年1月30日に打上げられた。
1と2は機体の設計が全く違っている。
2はペリジキックモーターを搭載し、より遠地点の高い軌道へ投入されている。
参考
http://www.astronautix.com/e/elektron-a.html
http://www.astronautix.com/e/elektron-b.html
Elektron 1は、404×7,117㎞(1964年3月20日元期)に投入され、現在は408×6,315㎞で健在。
一方、遠地点が約7万㎞であったElektron 2は、1997年4月20日に大気圏に再突入してしまっている。
なぜ、2の方が早く減衰したのだろうか。今回、両衛星について勉強する過程で、 2が不可思議な軌道変化をしていることが分かってきたので、次回はそのことについて書くつもりである。
最後に、少し古いですが、今年の4月22日に撮影したElektron 1の可視パスビデオです。
画面右上から左下へ動きます。明るさは7等台。
よく見るとチカチカと短い周期で変光しています。
花びらのように配置された6枚の太陽電池パネルによる増光ではないかと想像すると楽しいですね(6枚のパネルは、上記リンク先に写真)。
WAT-902H2 ULTIMATE , Nikon 105mm F1.8
画質720Pで再生して下さい。
※このブログの更新はツイッターでどうぞ
http://twitter.com/keck2keck2
なお、この記事ではペイロードだけでなく、ロケットなどのデブリも含めて「人工衛星」「衛星」と表記します。
軌道上に現存する最古の人工衛星は、ご存知、米国のヴァンガード1号とそのロケット(1958年3月打上げ)。
では、ソ連の衛星ではどうかというと、これが結構時代が下り、1964年1月打上げの磁気圏観測衛星「Elektron 1」(1964-006A)が最古の物体である。
実際のところ、「現存人工衛星の古さランキング」でソ連は第2位にさえ入らない。米国、カナダに続く第3位なのである。このようなランキングには何の意味もないのだが、ちょっと面白い。
今回、古い衛星を調べるのに使ったのは、SPACE-TRACKで閲覧できる有名なカタログ「Satellite Situation Report」(略称SSR)である。
SSRには「Objects in Orbit」と「Objects No Longer in Orbit」の2種類があり、2つを合わせれば、人工天体のフルカタログとなる(軌道要素未公表の物体であっても、名称だけは登録されている)。
前者は、現在も軌道上にある物体のリストである。人工惑星・他の天体を周回する物体・太陽系を脱出した物体もこのリストに含まれる。
後者は、すでに軌道上にはない物体のリストである。地球や他の天体に着陸・衝突した物体、地球や他の天体の大気圏に突入して消滅した物体はこちらに含まれる。
現存する古い衛星を調べるには、「Objects in Orbit」リストから人工惑星などを消去し、打上げ年月日の古い順にみていけばよいわけである。
最初にくるのは、上記の通りVANGUARD 1、VANGUARD DEB、VANGUARD R/Bである。その後も延々と米国の衛星が続く。
TRANSIT 4Aロケットのデブリ(史上初めて軌道上でブレイクアップしたとされる)や、「ウェストフォード計画」のデブリ(軌道上に銅針を大量に散布して通信を行うという米軍の非常識な計画)などが件数を稼ぎ、なかなかソ連が出てこない。
米国以外で最も古いのは、カナダの電離層観測衛星「Alouette 1」。1962年9月に米国のロケットで打上げられた、カナダ初の衛星である。
国別で次に来るのが、ソ連の「Elektron 1」になる。米国256個、カナダ1個に続いて、ついに登場。
ちなみに、「地球周回」の縛りをとった場合、「Objects in Orbit」リストで最古のソ連の物体は何かというと、「ルナ1号」(1959年1月打上げ)である。
磁気圏観測衛星「Elektron 1」は、「Elektron 2」とともに、1964年1月30日に打上げられた。
1と2は機体の設計が全く違っている。
2はペリジキックモーターを搭載し、より遠地点の高い軌道へ投入されている。
参考
http://www.astronautix.com/e/elektron-a.html
http://www.astronautix.com/e/elektron-b.html
Elektron 1は、404×7,117㎞(1964年3月20日元期)に投入され、現在は408×6,315㎞で健在。
一方、遠地点が約7万㎞であったElektron 2は、1997年4月20日に大気圏に再突入してしまっている。
なぜ、2の方が早く減衰したのだろうか。今回、両衛星について勉強する過程で、 2が不可思議な軌道変化をしていることが分かってきたので、次回はそのことについて書くつもりである。
最後に、少し古いですが、今年の4月22日に撮影したElektron 1の可視パスビデオです。
画面右上から左下へ動きます。明るさは7等台。
よく見るとチカチカと短い周期で変光しています。
花びらのように配置された6枚の太陽電池パネルによる増光ではないかと想像すると楽しいですね(6枚のパネルは、上記リンク先に写真)。
WAT-902H2 ULTIMATE , Nikon 105mm F1.8
画質720Pで再生して下さい。
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